高次脳機能障害事案に携わってきて~周囲も気が付きづらい高次脳機能障害について
当事務所の弁護士は、弁護士として働き始めてすぐに高次脳機能障害の患者様を担当させていただき、その後、直接患者様やご家族の方からお問い合わせいただいたり、県内の医療関係者の方などからのご紹介いただいたりと、現在までに何人もの高次脳機能障害の患者様を担当させていただいております。
その中で、いかに高次脳機能障害が、周囲から適切に把握・理解されることが難しいか、また、世の中に十分に認知されていないか、ということを目の当たりにしました。
当事務所では、高次脳機能障害の案件に携わる中で、香川県内でも特に高次脳機能障害に詳しいと言われている医師の方から意見書を作成いただいたり、必要に応じて、東京のその分野における権威ある医師の方に意見書を作成いただくなど、積極的に活動を行って参りました。
その甲斐もあり、過去には、一度高次脳機能障害の症状が認められず、後遺障害等級が非該当とされていた案件について、裁判をして高次脳機能障害が認められた事案などもありました。
加えて、高次脳機能障害は被害者のみならずご家族の理解や協力が不可欠な中で、当事務所の弁護士は「かがわ脳外傷友の会 ぼちぼち」集まりに定期的に参加させていただき、高次脳機能障害を負った方の日常生活や社会復帰に関しても情報交換をさせていただいております。今後、相談会の実施なども検討しているところです。
ご本人でも気が付くことが難しい高次脳機能障害
高次脳機能障害の難しい点として、外見から一見して症状を判別することが困難であるという実態から、医療関係者ですら見落としてしまうことがあるということです。
そのため、ご本人やご家族が、症状に気が付かずに日常生活を送るケースも多いですし、症状の具体的な内容も個々人によって差があることから、症状を適切に把握することが難しい障害であると一般的に考えられております。
高次脳機能障害の特徴的な症状としては、「記憶力や集中力が低下する」、「感情の起伏が激しくなる」、「感情のコントロールが上手くできなくなる」といったものがありますが、個々人によって、具体的に現れる症状は異なります。
そのため、ご本人の症状が「これは高次脳機能障害にあたる」とご自身で判断するのは難しい場合が多く、「怪我の痛みのせいで、機嫌が悪いだけだ。」等と(ご本人やご家族の方が)、単純に考えてしまい、高次脳機能障害の存在を全く疑わずに日常生活を送ってしまうというケースも多々見られます。
症状に気が付くきっかけとして多いのは、職場復帰のタイミングです。
とゆうのも、高次脳機能障害には、対人関係において不調・支障が生じるという特徴があり、このような特徴は、ご家庭という「うち」的な環境の中では、大きな変化を感じ取るのが難しい反面、職場のような「そと」の環境に身を置いた場合に、特に顕在化しやすいという側面があるためです。
このような特徴がありますので、交通事故で負った骨折や打撲等の外傷については回復している場合でも、交通事故後の職場復帰をきっかけとして、事故以前には全く感じたことがないような対人的なコミュニケーションについての支障を感じるようなことがありましたら、高次脳機能障害を発症している可能性があります。
当事務所では、現在進行中の案件を含めて常時10件程度の高次脳機能障害の患者様のサポートを行っております。多数の症例に携わってきたからこそできるサポートがありますので、高次脳機能障害が疑われる際は、ぜひともご相談下さい。
高次脳機能障害と交通事故賠償
高次脳機能障害とは、交通事故などの際に激しい衝撃によって脳が揺さぶられ、神経線維が千切れることで発症する脳の病気です。
症状としては、物忘れがひどくなる、新しいことが覚えられなくなる、一度に複数のことができなくなる、怒りっぽくなる、感情をコントロールできなくなる、などがあります。
高次脳機能障害で大きな問題は、日ごろの生活に支障がないことも多く、「事故のショックで変わってしまったのかな」という程度に受け止められ、病気が見落とされてしまいがちなことです。
事故後、少しでも気になる点がある場合は、専門医を受診してください。
高次脳機能障害の認定基準
1級1号
(要介護) |
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの |
2級1号
(要介護) |
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの |
3級3号 | 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの |
5級2号 | 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
7級4号 | 神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
9級10号 | 神経系統の機能または精神に障害を残し、服することが出来る労務が相当な程度に制限されるもの |
高次脳機能障害の留意点
繰り返しになりますが、高次脳機能障害は、一見すると「体調が良くないのでは?」などと気に留めずに見過ごしてしまうことがあります。その場合、本来受けられる補償が受けられなくなりますので、少しでも気になる点がある場合は、専門医を受診してください。
また、高次脳機能障害は、一見すると何の問題もなく、日常生活を送っているように見えることがあるため、後遺障害の認定基準を満たすことを証明するのが難しい障害でもあります。
医師や弁護士でも、高次脳機能障害の患者さんに接したことがない場合には、判断が難しい場合があります。従って、高次脳機能障害の場合、可能性がある場合には、この分野で経験の豊富な医療機関、弁護士事務所にご相談されることをお勧めいたします。
高次脳機能障害における医師の意見書の重要性
前記事でも申し上げたとおり、高次脳機能障害というのは、「腕を失った」とか「骨折した」というような外傷とは異なり、例えば「事故以前とは性格が変わってしまった」というような、一見しても、なかなかその症状の存在自体に気が付くのが難しいという特徴があります。
そのため、ご本人のみならず、ご家族等の周囲の方から見ても、症状を適切に把握するのが難しい場合が多いのですが、これは、後遺障害等級認定を行う機関(自賠責の調査事務所等)も同様であり、認定に際し、頭部のMRI等の医学的な画像それだけを見ても、高次脳機能障害であると判断困難な場合が多いというのが実情です。
そこで、適切な後遺障害等級認定を獲得するためには、例えば、専門医による意見書の存在等が非常に重要となります。
後遺障害の判断にあたり、自賠責の調査事務所や裁判所が用いる基準が、必ずしも医学的な基準と完全に一致するとは限りませんし、例えば裁判となった場合、担当裁判官が、専門性の極めて高い脳機能分野の医学的知識について、専門医と同様に精通しているとも限りません。
そのような中、認定機関に対し、ご本人の症状が後遺障害に該当することを積極的に判断してもらうための根拠として、専門医の「意見書」が大きな役割を果たすのです。
当事務所では、意見書をご作成頂くに際して、専門医の先生に、面会の機会を設けてもらうようにお願いすることを心掛けております。先生との面談の際、当事務所の弁護士から医師の先生方へ、ご本人の症状の具体的内容等を適宜説明させて頂くことで、少しでもスムーズに、ご本人の症状に即した意見書を書いて頂けるよう鋭意努力を重ねております。その際、専門医の先生と、しっかり医学領域についてもお話をさせて頂けるように、当事務所では、医学分野の知識の研鑽についても日々努力しております。
当事務所は、多くの高次脳機能障害案件を取り扱う中で、事案によってはこのような積極的な活動を通じて、依頼者様のお気持ちに寄り添いながら適正に権利を実現していくことが重要であると考えております。
香川県での豊富な訴訟(裁判)実績
当事務所は、あらゆる類型の裁判案件を常時60~70件程度保有しています。
交通事故案件に限っても常時二桁の裁判案件が係属中であり、香川県内屈指の交通事故案件の実績・ノウハウを有しているものと自負しております。
もちろん、裁判は、担当裁判官が個別具体的なケースに応じて法的判断を行うという制度である以上、一つ一つが千差万別であり、たとえ似たようなケースであったとしても、個別の案件によって、判断が変わる可能性を常に孕んでおります。
当事務所は、これまで多くの裁判案件を取り扱ってきた実績を生かしながら、裁判で徹底的に闘うべき案件と、示談交渉段階での和解がご依頼者様にとって最適な解決となるであろう案件の判断を適正に行い、ご依頼者様のご希望・ご利益に一番適う形での解決を日々目指しております。
なぜ裁判を重視するのか
高次脳機能障害で本当に苦しんでいるのに、非該当と言われて示談で終わらせられますか?納得できるでしょうか?
不当な過失割合を主張され、それを受け入れることができるでしょうか?
裁判所で裁判官の判断としての判決を受けずに、相手との合意ありきで話をまとめることを示談と言います。
示談というのは相手あってのことになる中で、いくらこちらが正しいことをお伝えしても、客観的に正しいかどうかということよりも、双方で納得のいく合意ができるかどうか、ということがポイントになってきます。
一方で、最終的に裁判を行うというのは、裁判官に判断をくだしてもらうといのが日本の制度である中で、明らかに相手が変なことを言っている場合は、裁判官に判断をしてもらうことが必要になってきます。
例えば、過失割合で向こうがこちらに9割非があると言っていても、こちらが実際は「私は悪くないのに」と感じている中で、相手が言うことを丸のみできるでしょうか。
そうした場合には、最後まで闘わなければならないと思います。
加えて、やはり賠償金に関しては、裁判基準という最も高い基準を引き出すことで、その後の生活の糧も確保することができます。
早期にご依頼いただくメリット①
等級認定獲得に向けて、お医者様に必ず行ってもらう必要のある重要な検査があります。
病院に行かれると、まずCTスキャンを撮ることが多いかと思います。一方で、撮影に時間がかかるMRI画像については、救急搬送時点では撮影されないことも多くあります。
後遺障害等級認定の獲得に向けて、重要な役割を果たすのが、このMRIです。
ところが、お医者様の使命は”病気や怪我を治す”ことにありますので、その観点では、MRI撮影の必要性がそもそもないとご判断される場合もあります。
その場合、例えば実際のケースとして、事故から1年以上経ってから症状が顕在化し、その段階で初めてMRI画像が必要とご判断された結果、MRI撮影を実施するというようなことも起こり得るのです。
上記のようなお医者様のご判断は、医師の仕事としては勿論正しいご判断であり、検査であるわけですが、一方で、弁護士として、交通事故被害者の方が適正に後遺障害等級認定を受けて頂くという観点からすると、事故から長期間経過した後に実施されたMRI画像では、事故直後に撮影された場合と比較すると、どうしても、認定に不利に働かざるを得ないという側面が否めません。
そのため、MRI画像の撮影は、できる限り、事故と近接した時期に行って頂く必要があることから、例えば事故直後にご依頼頂いた場合は、そのような観点から、MRI画像の早期撮影に向けてお医者様にアプローチをしていくことが考えられます。
当事務所は、早期に弁護士にご依頼頂くことで、病院のお医者様のご協力も頂きながら、より適正な被害者救済に尽力をしてゆく所存です。
早期にご依頼いただくメリット②
後遺障害の認定においては、必要な検査を、早期にお医者様に実施していただくことの重要性について、前回の記事でお伝えしました。
もう一つ、やはり事故に遭われた直後のタイミングにはなりますが、お身体のご心配が尽きない段階で、是非気を付けて頂きたい事柄があります。
例えば、弁護士が、後から病院のカルテを見ると「意識明瞭」という言葉が書かれていることがあります。この「意識明瞭」によって、意識障害の有無というのを判断することになるのですが、実際に被害者の方に現れている症状は千差万別であることから、「意識明瞭」という言葉のみでは、その方の具体的な症状の軽重や、実際の状態というのは判断が難しい場合が多いのです。
例えば、声をかけて「はい」等の単純な応答が出来るだけで「意識明瞭」と捉えるお医者様もいれば、ある程度複雑なコミュニケーションまで行えることを指して「意識明瞭」と捉えるお医者様もおりますので、その言葉の捉え方・評価ひとつで、被害者の方のその後の運命(後遺障害等級認定の有無、認定された場合の賠償金の多寡)が大きく変わってきてしまうということが起こり得るのです。
もしも事故直後から弁護士にご依頼頂いた場合は、患者である被害者様と共に、弁護士が主治医によるヒアリングに同席して適宜被害者様の症状を補足説明することや、事故直後の状況を正確に記録することが可能となるでしょう。それは、適正な等級認定・賠償金の獲得に繋がり、ゆくゆくは、被害者様の治療や生活の選択肢の幅を広げることになるのです。
交通事故被害者様には、最初に搬送された病院に入院中等の、出来るだけ事故直後の段階で、一度弁護士にご相談されることをお勧めします。その後の人生の選択肢を見据えても、事故直後の対応が最も重要となると考えております。
その際、お電話口などのお話だけで判断するのではなく、当事務所は、弁護士がご相談者の方と実際にお会いさせて頂く中で、例えば、質問に対して具体的にどのようなご反応(受け答え)をされるかといった直接的な印象も大切にしながら面談を進めております。
当事務所では、ご入院中の病院等への出張相談にも適宜対応させて頂いておりますので、ご家族の方を含めて、まずはお気軽にお問い合わせ下さいますようお願い申し上げます。
高次脳機能障害等の脳外傷の家族の会
「かがわ脳外傷友の会 ぼちぼち」は、NPO法人日本脳外傷友の会の会員で、高次脳機能障害等の脳外傷の患者の方やその家族の方が主に加入されている団体です。
当事務所でも、交通事故により高次脳機能障害になった方の案件を何件も担当させていただいておりますが、高次脳機能障害は、傷病そのもののご苦労だけではなく、そもそも傷病だと認識されていないことによるご本人様のご苦労、その中でご本人様を支えるご家族のご苦労もあり、非常に難しい問題です。
当事務所の弁護士は、平成29年5月21日に行われた「かがわ脳外傷友の会 ぼちぼち」の総会に賛助会員として出席しました。
最近は、ご家族の方がご高齢になり、将来、ご本人様だけが残された場合にどうすれば良いかという問題も生じてきているということで、総会に出席された会員の方からは、成年後見制度だけではなく、家族信託など他の制度を利用するために勉強したいというお話もありました。
今回、「かがわ脳外傷友の会 ぼちぼち」の総会に出席して、会員の方と交流させていただき、賛助会員として、高次脳機能障害等の脳外傷の認知度を高め、また、ご家族の方の不安や苦労を軽減するために少しでも尽力したいとの思いを、より一層強めることになりました。
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